空飛ぶタイヤ

ノボブ

2011年10月24日 03:37

空飛ぶタイヤ (上)648円(税別)
空飛ぶタイヤ (下)648円(税別)

著者 池井戸 潤  講談社文庫



下巻P57より

「いわゆる希望的観測って奴ですか」

ここまで読んだときに、この展開でどうにかなるのか?
だが・・・そんな単純なストーリーではなかった。



写真のキャストは大のお気に入り。だから?ダイキャスト・・・
車のタイヤが外れる、ただそれだけのお話ではない。

※キャストとは配役のこと。
※ダイキャストとは金型に溶かした金属を圧入して精度の高い鋳造方式。

下巻P252より
 主観と客観。
その二つは必ずしも一致しない。今の沢田がそうであるように。
商品開発部への移動という客観的な成功に隠された、
やりたい仕事ができないという主観的な不満。
客観的には満足できても、主観的には物足りない。
主観と客観が両立したとき、夢は実現する。


私の周りでこの本を読んだ数人が言った。
「沢田の嫁さんはいいね」

自分の夢のためには何でもやってもいいのか?
でも、自分の夢・・・綺麗事では済まされない・・・



下巻P324より
「だったら赤松さんにだって責任があることにはならないじゃないですか。
あなた矛盾していませんか」

頭が悪い(性格が)おばちゃんにガツンと・・・
世の中、矛盾していることを平気で言う人がいます。
日常的に起こりそうな話が、ここまで痛快なのはなぜだろう?



上巻P402より
 言葉とは裏腹に、会社の屋台骨がかしいでいる実感に赤松は喘いだ。
会社がヒトでできているなら、会社が本当の終焉を迎えるのは、
金がなくなったときでなく人がいなくなったときだ。

私も小さな会社を経営している。
今年はいろいろあり、大変な年だが、うちには素晴らしい「ヒト」がいる。
もしかして?これって経営者へのご褒美なのかもしれない。



上巻P30より
「社長に叱られて、アイツ、やることやってたんですよ」
「やっちまった」

社長はスーパーマンではない。
時には間違いを犯してしまう。
見えないところで頑張っている社員・・・(これ以上は本を読んで!)



下巻P197より
 ここにはおれの夢があるはずだ。
 そう信じていた、あるいは信じようとしていた沢田の胸に
その疑念はゆっくりと沁みてきた。
 本当に夢なんてあるのか?

夢への扉は開かれたはずだった。
しかし、正義の無いところには結局、夢は無い。



私の周りで、この本を読んだ人は
もうすぐ10人を超えようとしている。
1週間かけてじっくり読んだ人、寝ずに4時間かけて一気に読んだ人。
みんな「良かった」と言っています。
お勧めです。
最後に突然ですが・・・
モノづくりに真剣なIWCが好きです。

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